【2331G109】 次世代型水道システムの実現に向けて 科学が開く未来の扉 水道システム研究センター
実施日 | 2023/11/04 ~ 2023/12/02 | 曜日 | 土 |
時間 | 15:00~16:30 | 定員 | 30名 |
キャンパス | 飯田橋キャンパス | 教室 | |
受講料 |
10,100円 | 単位 | 1 単位 |
講座の説明
《東京都立大学 研究センター・リサーチコア》
本学の研究は人文・社会・自然科学の各分野で高い水準にあり、それぞれの専門領域で優れた実績を挙げています。これらを有機的に結び、世界最高峰の研究拠点を目指すのが研究センター・リサーチコアで、学内外に研究の成果を発信しています。研究センターシリーズ「科学が開く未来への扉」では、本学研究センター・リサーチコア最先端の研究成果を紹介していきます。
《水道システム研究センター》
今や水道システムは、いつでもどこでも手に入る不断のライフラインとして認識されており、「安全でおいしい水」への需要者ニーズも日々高まっています。東京都の場合は地中に約2万7千キロ、全国では73万キロ以上の水道管路が埋められていますが、国内の多くの水道施設は、老朽化の時期を迎えつつあります。日本は世界をリードする高水準な水道技術を有するトップレベルの水道先進国ですが、水道管路の適切な維持管理や予防保全、更新計画、また良質な水源の確保など、水道施設の管理は国民の生活に直結するだけに重要かつ継続的な課題となっています。本研究センターでは、そうした状況の中で水道システムを対象とした産官学共同研究について主導的な立場で参加し、次世代型水道システムの実現に向けて多岐におよぶ調査研究を行っています。
《センターの先進性》
本研究センターでは、東京都における区部の大規模水道と、多摩地域や離島における中小規模水道の両者を対象に、総合的な調査研究から蓄積される現場の情報をビッグデータに集約し、データマイニングにより構築したエキスパートシステムでの制御、最適化理論を活用した計画決定、総合評価指標の構築などを主軸に、次世代型水道システムを目指しています。また学術資産としての論文の発表数は、日本水道協会の「全国水道研究発表会」における学校・公的団体で連続15年間以上にわたり第1位を記録するなど、教育的な効果も含めて積極的に取り組んでいます。
《センターの未来像》
本研究成果を国内における水道の現場へ適用させるべく、東京都水道局をはじめ国の研究機関との長期的な共同研究へ発展しています。また、コロナ禍で中断していたソウル市立大学との共同研究及び学生交流の多様な進展を継続するとともに、フィリピン、インドネシア、インドなどアジアの大学を中心に研究交流体制の構築を図り、アジアのみならず世界に向けて、本研究センターの研究成果を発信していきます。
本研究センターは、東京都をはじめとする国内の水道事業体のシンクタンクとして、さらには、アジア諸国における水道をリードする技術の拠点としての進展を視野に入れて活動していますが、今回の講座では水道システムに関する共同研究や最先端の研究成果を4回にわたって紹介します。
講座スケジュール
回 | 実施日 | 講座内容 | 担当講師 |
---|---|---|---|
1 | 2023/11/04(土) |
将来も持続可能な水道システムに関する最近の動向 次の世紀を見通した次世代型水道システムの実現に向けて、産官学連携による多様な調査研究を推進しています。中でも、水道管路の総延長は全国で73万km以上にも及びますが、今後は耐震化による更新が必要です。今回の講座では最近の共同研究成果を分かり易くお話ししたいと思います。 |
小泉 明 |
2 | 2023/11/11(土) |
安全で美味しい水道水はどのようにつくられるか︖ 水道から給水される水は安全でなければならないと考えています。そのために、日本の近代水道ではどの様な努力をし、水道水を美味しくするためにどの様な努力がされているのでしょうか。次世代に渡り安全で美味しい水道水を給水するためには、今後どのような努力が必要かお話しします。 |
佐藤 親房 |
3 | 2023/11/25(土) |
IoTやAI技術を活⽤した水道インフラの維持管理 老朽化が問題視される水道インフラでの重大事故を未然に防ぎ、維持管理の負担低減や効率化を図ることが、人口減少社会の到来、自然災害が激甚化する我が国において重要な課題となっています。今回の講座では、IoTやAI技術を活用した水道インフラの維持管理について解説します。 |
荒井 康裕 |
4 | 2023/12/02(土) |
水道水を水源林とダム貯水池で守る 東京都水道局は「水源の森」を100年以上の長きにわたって管理してきました。森林の育成と水道水の関係性は、イメージとして理解できるかもしれませんが、データに基づく科学的・定量的な裏付けは意外と少ないのです。そこで、共同研究を通じて得られた、森の保水力、森の土砂浸食防止機能、貯水池の水質管理などについて、データに基づいて解説します。 |
横山 勝英 |
備考
※高校生は専用ページからお申し込みください。
講師
小泉 明(こいずみ あきら)
東京都立大学大学院 特任教授、水道システム研究センター長、工学博士、技術士
【プロフィール】
水道コンサルタントで勤務後、1980年より東京都立大学(首都大学東京)において教育研究に従事。専門分野:水環境システム工学、上下水道工学、都市廃棄物計画学。
研究成果を土木学会論文集、水道協会雑誌、下水道協会誌、廃棄物学会誌、IWA関係の論文誌等に多数発表。著書:都市の技術(技報堂)、水環境ハンドブック(オーム社)、水道工学(技報堂)、都市の廃棄物問題(東京都立大学出版会)等。技術士(上下水道部門)

佐藤 親房(さとう ちかふさ)
元東京都水道局水質センター所長、水道システム研究センター、博士(工学)
【プロフィール】
水道工学、水質分析
博士論文「全有機炭素を考慮した残留塩素濃度予測モデルに関する研究」公益社団法人日本水道協会水道GLP 外部審査員

荒井 康裕(あらい やすひろ)
東京都立大学大学院 都市環境科学研究科 准教授
【プロフィール】
1999年3月 東京都立大学大学院 工学研究科 修了。
2006年11月 東京都立大学 博士(工学)取得(論文題名:都市ごみの管理計画に関するシステム論的研究)。
2011年4月 首都大学東京 准教授。

横山 勝英(よこやま かつひで)
東京都立大学大学院 都市環境科学研究科 教授
【プロフィール】
東京都立大学 都市環境学部 都市基盤環境学科 教授。
1999年東京工業大学大学院環境物理工学専攻博士課程修了、建設省土木研究所河川研究室を経て、2002年東京都立大学講師、2005年より現職。博士(工学)。
専門は環境水理学で、流域からの土砂流出、ダム貯水池の富栄養化、河川の地形変化、河口域の流れと生態系について研究を進めている。フィールドワークを得意とし、みずから船を操縦して調査を行う。震災後は気仙沼にて海底がれき調査に着手。
