【2241G102】 【高校生専用申込ページ】いま、環境問題を考える
※第1回のお申込は締め切りました。2回目以降の申込はお電話ください。
実施日 | 2023/01/25 ~ 2023/03/15 | 曜日 | 水,木 |
時間 | 18:30 ~ 20:00 | 定員 | 50名 |
キャンパス | オンライン | 教室 | |
受講料 |
0円 (入会金不要) | 単位 | 0 単位 |
講座の説明
東京都立大学オープンユニバーシティでは、オンライン スペシャル講座を開講いたします。オンラインならではの特性を活かし、全国の様々な研究者や専門家が登壇し、ユニークかつ興味深い講座を提供します。
今回は、地球温暖化をはじめ、様々な環境問題について多角的に考える8回シリーズの講座をお届けします。毎日のように報道される環境問題を、現状や今後の展望、また我々自身がどのように捉えるべきか考えます。
感染症やウクライナ危機など混迷を深める現代社会において、環境問題も人類にとって重要な問題であることは言うまでもありません。持続可能社会の実現に向けて、環境問題への取り組みは待ったなしと言われていますが、様々な理由・要因によって、順調に推移しているとは言えません。特に前世紀以来、地球温暖化が進行しており、その原因の大部分は人間活動によるものと考えられています。いま、その活動をいかに見直すかが、真剣に問われているのです。勿論、環境問題は地球温暖化だけではなく、それ以外にも様々な問題が発生しています。
それらの環境問題の改善に向けて世界規模での取り組みなどが日々報道されており、脱炭素に向けての規範作り、再生可能エネルギーなどテクノロジーの進歩による取り組みや、あるいは環境ビジネスと言う視点での経済的対策(ESG投資)などが注目されています。勿論、それらの活動は重要でありますが、それだけで十分とは言えません。
一口に環境問題と言っても世界地域によって異なりますし、大都市と地方でも異なります。環境問題は世界ごとではなく日本ごと、自分ごととして考えることも重要であり、また世代を超えて意識することも重要なのではないでしょうか。2015年の世界市民会議の調査「あなたにとって、気候変動対策はどのようなものですか」という質問に対して、a:対策は多くの場合、生活の質を脅かすものである、の答えが世界平均では26.8%ですが、日本では60%です。b:対策は多くの場合、生活の質を高めるものである、の答えが世界平均では66.2%ですが、日本では17%と低い数値になります。つまり、日本では気変動対策そのものには反対しないが、現状の生活を維持する事も大切であり、何らかの形で生活に影響が出るであろう対策の推進には、必ずしも積極的であるとは言えないかもしれません。
日本政府は昨年、温室効果ガスの削減を2030年に46%減(2013年比)、2050年に実質ゼロという目標を掲げました。果たして今後の展望はどうなのか、私たちの意識・行動はどうあるべきなのか、様々な視点から考察します。
講座スケジュール
回 | 実施日 | 講座内容 | 担当講師 |
---|---|---|---|
1 | 2023/01/25(水) |
持続可能な未来社会のための総合地球環境学 地球温暖化や生物多様性の減少、水資源の枯渇、貧困や格差の問題は、複合的な地球環境問題として連環しています。複雑な社会経済生態システムを理解し、人類生存のための規範的な方法を示し、地域により異なる自然・社会構造の違いに応じた社会実装に向け、総合地球環境学から環境問題を考えます。 |
谷口 真人 |
2 | 2023/02/01(水) |
地球温暖化をどう考えるか 「気候危機」とも言われる地球温暖化はどうして起こるのでしょうか?将来の気候は、どうなっていき、その影響は我々の生活にそのように及ぶのでしょうか?IPCCの最新報告書での成果などを交えながら、地球温暖化の問題をどう考えていったら良いのかを探っていきます。 |
松本 淳 |
3 | 2023/02/08(水) |
地球環境問題における科学と政治 本講座と同じテーマの討論形式の講義を学部一年生向けに行っています。学生は、様々な環境問題に関する科学的な知見とその不確実性、科学と政策との関わりを調べます。科学的理解がいかに重要であるか、無知・無関心がいかに危ういものであるか、講義中の議論の一部を交えながら紹介します。 |
竹川 暢之 |
4 | 2023/02/16(木) |
※木曜日開催 環境問題とエネルギー エネルギーおよび資源の消費と二酸化炭素の排出はリンクしており、環境に様々な影響を及ぼします。持続可能な社会を実現するためには、脱化石資源の実現と二酸化炭素を含む炭素の循環体系の構築が必要です。本講義では、エネルギー・資源と環境問題の関わりについて議論します。 |
宍戸 哲也 |
5 | 2023/02/22(水) |
環境問題を経済学的視点から考える 世界では脱炭素化の動きが進んでいます。脱炭素化の実現には、エネルギーや自動車などの産業構造をはじめ、経済構造を大きく変える必要があります。これらの変革は人々の行動、生活様式、働き方、企業戦略などに大きく影響します。本講義では環境問題を経済学的視点から議論します。 |
宮本 弘暁 |
6 | 2023/03/01(水) |
食と環境を考える 地球環境問題は深刻化の一途を辿り、世界中で山火事や水害が絶えず、水位上昇で湾岸都市の存続が危ぶまれています。そんななか「食」にあらためて注目が向けられています。ここでは化石燃料や化学物質をできるだけ使わない食のあり方の指針となる思想を探っていきたいと思います。 |
藤原 辰史 |
7 | 2023/03/08(水) |
エシカル消費は、地球環境の改善にどのように貢献できるか? 毎日のお買い物が、悪化する地球環境にストップをかける原動力になるーーそれは、エシカル消費が果たせる一つの役割でもあります。地球や社会、人に配慮したものづくりをしている企業のものを選んで買うという消費者の日々のエシカル消費の蓄積が、地球環境をいかに改善できるか、について考えます。 |
生駒 芳子 |
8 | 2023/03/15(水) |
サーキュラーエコノミー(循環経済)とデザイン 大量生産・大量廃棄を前提としたリニア型からサーキュラーエコノミーへ。その大きな命題に対してデザインという観点からアプローチしている事例を見ていきます。そこには再利用やリサイクルしやすさ、メンテナンス、シェアリングの仕組みなど様々なデザインがあります。 |
永井 一史 |
備考
本講座に関係する著作・論文
『地下水流動―モンスーンアジアの資源と循環』谷口 真人 著(共立出版)
『日本の気候Ⅰ』松本 淳 共著(二見書房)
『地の理の学び方』松本 淳 共著(二見書房)
『101のデータで読む日本の未来』宮本 弘暁 著(PHP新書)
『ポストコロナの生命哲学』藤原 辰史 共著(集英社新書)
『分解の哲学』藤原 辰史 著(青土社)
『エネルギー問題に効くデザイン』永井 一史 著(成文堂新光社)
『これからのデザイン経営』永井 一史 著
※高校生の参加は無料です。8回シリーズの講座ですが、高校生は1回だけでの参加も可能です。
※アーカイブ配信(録画)も視聴できます。
講師
谷口 真人(たにぐち まこと)
大学共同利用法人・人間文化研究機構 総合地球環境学研究所 研究基盤国際センター 副所長・教授
松本 淳(まつもと じゅん)
東京都立大学 都市環境学部 教授、気候学国際研究センター長
【プロフィール】
気候学国際研究センター長。1987年のバングラデシュ訪問を皮切りにアジアモンスーン諸国を飛び歩き、2006年からはアジアのモンスーン気候の謎の解明をめざした国際共同研究を推進中。

竹川 暢之(たけがわ のぶゆき)
東京都立大学 理学部 化学科 教授
【プロフィール】
平成26年4月より首都大学東京 教授として勤務。
専門分野: 大気化学
宍戸 哲也(ししど てつや)
東京都立大学 都市環境学部 教授、水素エネルギー社会構築推進研究センター長
【プロフィール】
博士(工学・北海道大学)。
広島大学助手、東京学芸大学助教授、京都大学准教授を経て現在は東京都立大学都市環境学部環境応用化学科教授、水素エネルギー社会構築推進研究センター センター長。専門は触媒化学・表面化学。分子レベル・ナノレベルでの「触媒」の精密設計を通じて「水素エネルギーの高度利用」「高効率な分子変換プロセス」「環境保全・浄化に有効なシステム」の構築を目指している。「触媒」をキーマテリアルとする化学により「エネルギー・資源・環境」に関する課題の解決に取り組んでいる。

宮本 弘暁(みやもと ひろあき)
東京都立大学 経済経営学部 教授
【プロフィール】
慶應義塾大学経済学部卒業、米国ウィスコンシン大学マディソン校にて経済学博士号取得(Ph.D. in Economics)。国際大学学長特別補佐・教授、東京大学公共政策大学院特任准教授、国際通貨基金(IMF)エコノミストを経て現職。専門は労働経済学、マクロ経済学、日本経済論。日本経済、特に労働市場に関する意見はWall Street Journal、Bloomberg、日本経済新聞等の国内外のメディアでも紹介されている国際派エコノミスト。著書に『労働経済学』(新世社)、『101のデータで読む日本の未来』(PHP研究所)がある。

藤原 辰史(ふじはら たつし)
京都大学人文科学研究所 准教授
【プロフィール】
人間・環境学博士。京都大学人文科学研究所准教授。専門は農業史、食の思想史。2006年『ナチス・ドイツの有機農業』で日本ドイツ学会奨励賞、2013年『ナチスのキッチン』で河合隼雄学芸賞、2018年『給食の歴史』で辻静雄食文化賞、『分解の哲学』でサントリー学芸賞を受賞。『食べること考えること』『食べるとはどういうことか』ほか著書多数。2019年には第15回日本学術振興会賞受賞。

生駒 芳子(いこま よしこ)
ファッションジャーナリスト、日本エシカル推進協議会 会長
永井 一史(ながい かずふみ)
多摩美術大学 教授、東京都立大学 客員教授、クリエイティブディレクター