【2211G101】 『デザインの力』を考える
実施日 | 2022/04/23 ~ 2022/06/18 | 曜日 | 土 |
時間 | 14:00~15:30 | 定員 | 110名 |
キャンパス | オンライン | 教室 | |
受講料 |
16,000円 | 単位 | 2 単位 |
講座の説明
東京都立大学オープンユニバーシティでは、オンライン スペシャル講座を開講いたします。オンラインならではの特性を活かし、全国の様々な研究者や専門家が登壇し、ユニークかつ興味深い講座を提供します。
今回は、『デザインの力』を考える をテーマに、8回シリーズの講座をお届けします。デザインという概念がどのように変化・進化してきたか、その未来も含め、専門家・研究者、本学教員と共に考えていきます。
デザインとは何か?と聞かれて皆さんはどのように答えますか。今日ではデザインという言葉は日常生活においても頻繁に使われますし、広告、編集、商品開発、建築・空間設計、インテリア、ファッション、あるいは企業経営や行政などの活動領域も含め、あらゆる分野でデザインということばが使用されています。小学館のデジタル大辞泉では、デザインの意味を① 建築・工業製品・服飾・商業美術などの分野で、実用面などを考慮して造形作品を意匠すること。「都市をデザインする」「制服をデザインする」「インテリアデザイン」 ② 図案や模様を考案すること。また、そのもの。「家具にデザインを施す」「商標をデザインする」 ③ 目的をもって具体的に立案・設計すること。「快適な生活をデザインする」 の大きく3つに分けて説明しています。東京オリンピックの開会式で話題になった競技種目を表現したピクトグラムは②に該当します。未来の日本をデザインする、などの表現は③に該当するでしょう。
また最近ではコンピュータグラフィックスなどデジタル技術の飛躍的進化により、デザイン表現そのものも多様化精緻化、してきています。コミュニケーションにおいて重要な役割を果たしてきたデザインそのものも進化を続けており、今やデザインという概念の定義は、ビジネスや社会への関与度がますます高まる中で、変化(進化と言っても良い)を続けています。新型コロナや環境問題、民族紛争など混迷を深める世界ですが、そのような状況下でコミュニケーションの在り方はますます重要になってきています。目標に向かって何をどのように伝え、理解者・賛同者を増やしていくか、という計画・考えもデザインであり、それを判り易く印象的に伝える、ということもデザインの役割です。ブランディングさらにイノベーションに大きく貢献するのもデザインです。デザイン思考という考え方も普遍化しつつあります。本講座では、『デザインの力』をデザイン史という視点、実際に様々な局面でデザインが果たしてきた役割、さらには未来に向けてのデザインの可能性なども含め、幅広く考えてみたいと思います。
講座スケジュール
回 | 実施日 | 講座内容 | 担当講師 |
---|---|---|---|
1 | 2022/04/23(土) |
デザインの本質 Designing for Essential Values 「デザインとは何か」この問いは、時を超えて語られ続けてきた。そして今、「デザイン」はさらに大きな拡がりの中にある。私たちは、その言葉の意味や役割について、正しく理解しているのだろうか。デザインの現状や認識をあらためて確認したうえで、デザインの未来と可能性について考る。 |
田中 一雄 |
2 | 2022/05/07(土) |
視覚言語の力─思想家によるデザイン活動を通して 社会や経済の諸問題を視覚言語を用いて可視化するデザイン活動を続けた特異な哲学思想家として、オットー・ノイラートが知られている。この思想家の活動を導き手として、同時代のバウハウスのデザインなども紹介しながら、20世紀に興隆した視覚言語の力について考える。 |
伊原 久裕 |
3 | 2022/05/14(土) |
人と都市をつなぐデザイン「スーパグラフィック」 私たちの暮らすまちが魅力的な環境であるために、スーパーグラフィック(人と都市・建築や空間をつなぐグラフィックデザイン)がどんな役割を果たしているのか。世界の事例をご紹介しながら紐解き、都市や建築との関係性やスーパーグラフィックの価値についてお話ししたいと思います。 |
菊竹 雪 |
4 | 2022/05/21(土) |
デザイン・オルタナティヴ 〜 デザインだけがデザインじゃない デザインは、小綺麗な外観を与える作業ではなく、社会の課題を解決するアイデア。困っている人を助ける仕事。今に足りぬ必要なものを、謙虚に作り続けること。既成概念を疑うことで現れるもうひとつの答え。デザインはすべての人の中にあるのです。 |
箭内 道彦 |
5 | 2022/05/28(土) |
ペーパーメディアデザインの創造的未来 ──「紙の本」のもつ力 出版物の電子書籍化が進むなか出版社による出版ビジネスとは別にリトルプレスと呼ばれる個人出版やzineと呼ばれる同人誌の展示即売会が活況にある。美術表現としてのブックアートや工芸・ホビーとしての手製本なども加え、ポスト大量消費時代の紙の本のあり方と担うべき文化的役割を考える。 |
楠見 清 |
6 | 2022/06/04(土) |
インテリアデザイン~美しさを呼び覚ます思考と試行~ 「デザイン」の意味や価値は、良くも悪くも拡がりを続けているように感じています。果たして「デザイン」とは何なのか。講義では、我々の日常を振り返り、「デザイン」の役割を紐解きながら、これからの「デザイン」の可能性に関して、一緒に考える機会にしたいと思っています。 |
藤原 敬介 |
7 | 2022/06/11(土) |
ファッションデザインの力 ─ 今、何故 エシカル・ファッションなのか 世界で第二位の汚染産業という不名誉な指摘を受けたファッション業界が、今、生まれ変わろうとしている。サーキュラー経済に基づいたサステナブルなものづくりやリサイクル、アップサイクルから、お気に入りを手に入れて長く愛用するという概念まで、環境問題、人権、動物福祉に配慮する、新しいデザインの存在意義を宿したエシカル・ファッションの最前線についてお話しします。 |
生駒 芳子 |
8 | 2022/06/18(土) |
デザイン経営とは何か 経産省・特許庁から“デザイン経営宣言”が発表されました。それは、デザインの重要性を認識している経営者やビジネスマンが日本ではまだまだ少ないことへの危機感から生まれたものです。 デザイン経営とは何か。何故、経営にデザインが必要なのかについてお話できればと思います。 |
永井 一史 |
備考
本講座に関係する著作
『デザインの本質』 田中 一雄 著作
『デザインに哲学は必要か』 伊原 久裕 共著
『僕たちはこれから何をつくっていくのだろう』 箭内 道彦 著作
『広告ロックンローラーズ』 箭内 道彦 編著
『ロックの美術館』 楠見 清 著作
『インテリアデザイン—美しさを呼び覚ます思考と試行』 藤原 敬介 著作
『Super Graphics』 菊竹 雪 著作
『これからのデザイン経営』 永井 一史 著作
※高校生の参加は無料です。8回シリーズの講座ですが、高校生は1回だけでの参加も可能です。
※高校生は専用ページからお申し込みください。
※アーカイブ配信(録画)も視聴できます。
講師
田中 一雄(たなか かずお)
GKデザイン機構 代表取締役社長CEO
伊原 久裕(いはら ひさやす)
九州大学大学院 芸術工学研究院 教授
菊竹 雪(きくたけ ゆき)
東京都立大学 システムデザイン学部 教授、多摩美術大学 客員教授
【プロフィール】
大学で建築を学び、日本デザインセンターを経て、ミラノにてインダストリアルデザイナー、アンジェロ・コルテージに師事。1994年文化庁派遣芸術在外研修員として英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アートで建築、空間、環境にかかわる概念にとらわれないグラフィックデザインを学ぶ。グローバルな視点と斬新さと繊細さを兼ね備えた感性により、日本におけるスーパーグラフィックのパイオニアとして活躍中。日本グラフィックデザイナー協会新人賞、通産大臣賞、グッドデザイン賞など国内外受賞多数。

箭内 道彦(やない みちひこ)
東京藝術大学 教授、クリエイティブ・ディレクター
楠見 清(くすみ きよし)
東京都立大学 システムデザイン学部 准教授
【プロフィール】
2000-04年『美術手帖』編集長、2007-08年京都造形芸術大学客員教授を経て、2008年より本学勤務。専門は出版学、メディア文化史、現代美術。美術編集者・評論家。単著『ロックの美術館』、共著・分担著に『20世紀末・日本の美術──それぞれの作家の視点から』、『現代アート事典』、『絵本の事典』、『KRAZY! The Delirious World of Anime + Comics + Video Games + Art』ほか。

藤原 敬介(ふじわら けいすけ)
東京都立大学 システムデザイン学部 教授、インテリアデザイナー
【プロフィール】
1968年 東京都生まれ。1992年 武蔵野美術大学 工芸工業デザイン学科 卒業
1992年 株式会社スタジオ80入社 チーフデザイナー歴任
2001年 藤原敬介デザイン事務所設立
2011年 首都大学東京システムデザイン学部インダストリアルアートコース准教授
2016年 現職
受賞歴、IIDA Global Excellence Awards 医療空間部門最高賞(2013年)、日本商環境設計家協会優秀賞(2001年)、他
著書、インテリアデザイン ~美しさを呼び覚ます思考と試行~ 丸善出版、Interior Elements for Space and Product Design Frame Pub

生駒 芳子(いこま よしこ)
ファッション・ジャーナリスト、アートプロデュ―サー
永井 一史(ながい かずふみ)
多摩美術大学 教授、東京都立大学 客員教授、クリエイティブ・ディレクター